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法定耐用年数は建物の寿命と関係ない?!

2019/10/30


法定耐用年数につきましては、不動産賃貸業を行う中において必ず触れる機会があるかと思います。この記事では、法定耐用年数の歴史と意味合い、法定耐用年数と不動産投資について述べていきます。

まず、法定耐用年数の成り立ちですが、始まりは18世紀にイギリスで起きた産業革命に遡ります。産業革命によって船や鉄道のような初期投資が高いながらも、その後長期に渡って利益を生み出せる固定資産の重要度が増しました。そうした中で18世紀末には減価償却という当時としては先進的な会計帳簿が誕生致しました。
日本では明治10年前後に鉄道と海運において減価償却に似た会計が導入され、大正7年に旧大蔵省にて耐用年数が誕生、昭和7年には減価償却の概念が成立致しました。
大正7年に制定された耐用年数は最初、物の寿命を示す『物理的耐用年数』から始まったものの、減価償却の概念が成立した昭和7年には減価償却が投下資本の回収を目的としたものとして明文化され、耐用年数も経済陳腐化の考え方を取り入れ、短縮が行われました。
その後戦時中には投下資本の回収を早める為に耐用年数が短くなったり、その後正常化の為長くなったりとその時代毎の経済背景・時代背景に応じて調整がなされました。
直近ですと、昭和39年と昭和41年、平成10年に法定耐用年数の短縮化がなされております。
昭和の改定は貿易の自由化や高度経済成長に日本の国際競争力の強化の為設備更新や内部留保の促進する目的、平成の改定はバブル崩壊後の経済を立て直す国の目的があったようです。

上記からお分かり頂けるように、現在、都市銀行・地方銀行においては、残存の法定耐用年数を元に融資期間の設定がされておりますが、法定耐用年数自体国がその都度の経済情勢に合せて調整しており、実際の建物の寿命とは別の考えにて制定されております。
建物の寿命も年々上がっている研究データもございますので、中古に関しては法定耐用年数と分けてお考え頂くのがよろしいのではないでしょうか。

なお、中古物件は投資の観点から見ましても、土地値に近く、資産価値や物件価格、賃料の下落が起きづらく、出口まで考えても投資として成り立ちやすいという点がございます。
特に、日本社会において、社会人の平均年収の低下や大学生が親からのもらう仕送り額の低下を鑑みますと、比較的賃料が低い中古物件への賃貸ニーズは根強いでしょう。
この点、都市銀行や地方銀行における法定耐用年数と建物寿命の認識のギャップを埋めるように、中古物件でも融資期間を長く取りやすいアパートローンを取り扱っている金融機関がありますので、お取組みはご検討頂きやすいのではないでしょうか。

以上最後ご覧頂きありがとうございました。

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